研究課題/領域番号 |
22740182
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
村上 晃一 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 計算科学センター, 研究機関講師 (10353369)
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キーワード | 素粒子実験 / 測定器シミュレーション / GPU混ピューティング |
研究概要 |
本研究は、高エネルギー物理学実験で使われる測定器シミュレーションプログラムであるGeant4を、GPUコンピューティングの新しい手法を使って、高速化することを目的とする。 開発にあたっては、NVIDIA社のTesla C2070演算ユニットを用いた。GPUコンピューティングのプログラム環境であるCUDAを使って、アプリケーションの並列処理化を行った。 昨年度に引続き、GPUの高い並列処理能力を引出すためのデータモデル、アルゴリズムの開発を継続している。Geant4のデータモデル、関数処理に関して、マルチスレッド処理への対応を行った。同時に、GPU上での超並列粒子輸送アルゴリズムの開発を継続している。GPUのメモリ上に複数の粒子を蓄え、各スレッドで独立に粒子輸送を行う。複数の初期粒子、2次粒子、イベントを同時処理することで、速度の向上を図った。また、粒子輸送のための最適な処理単位に関して、アプリケーションの種別による評価を行った。 実際のシミュレーションに適応するために、物理過程のコードとの接続をどのように実現するかの検討を行った。物理過程をGPU側とCPU側のそれぞれで処理した場合の問題点や処理のオーバーヘッドに関して、アパリケーションの種別に対して検討した。比較的簡単な電磁相互作用の場合は、GPU側での処理が可能であることが分った。しかし、より複雑な物理過程の場合は、CPU側で処理する必要があり、GPUからCPUへの必要な情報の渡し方、CPU側でのマルチスレッド処理に関して、処理方法の開発を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CUDAプログラミングを利用したGPUによる並列輸送コードを順調に開発し、これによる処理速度の向上を実現できている。
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今後の研究の推進方策 |
粒子の輸送処理の単位、粒子スタックの管理方法などの詳細をアプリケーションの種別ごとに検討し、さらなる粒子輸送コードの最適化を図る。また、物理過程の実装をどのように実現するかをより具体的に検討して、GPUを用いた測定器シミュレーションの適用性に関して指針を得る。
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