この研究は加速器での大強度ビームを吸収するビームダンプやコリメータのようなビーム吸収体での熱電対を用いたビームプロファイルモニターの開発である。近年ビームの大強度化により、ビームライン機器は従来より放射化され、多大な発熱が予想される。本研究では大強度に対応したビーム吸収体のビームを吸収する表面の温度を複数点計測することで、ビーム入射前後の温度差からビームプロファイルを算出することを目標としている。この研究が成功することにより、ビーム吸収体とモニターが一括化され、安価な熱電対で測定でき、装置数が減少することによりコストダウンが見込め、被曝作業も減少する。 平成23年度は実験を行うためにまず実験モデルの製作を行った。実験モデルは前年度のビームシミュレーションから材質は鉄で製作し、ビームが照射される中心部に熱電対を85点ハンダ付けし、温度が測定できるように設置した。 当初は東北大サイクロトロンRIセンター、サイクロトロンで実験を予定していたが、東北大震災のためサイクロトロン施設・機器が破損し実験できなくなった。そのため似たようなビーム性質を持つ大阪大学核物理研究センター、サイクロトロンで実験を行った。実験では65MeVの陽子ビームで、ビーム強度、中心位置を変化させた。ビームプロファイルは熱電対からビーム入射前後の温度差から得られ、測定したプロファイルは上流に設置した蛍光板より得られたデータと比較することにより正確にビーム中心や幅を測定できることがわかった。
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