研究概要 |
本研究の目的は、変形中性子過剰領域"Island of Inversion"における新魔法数の存在および不安定原子核殻構造の重大な変化を、この領域のNe,Mg同位体核半径及び最外殻核子運動量分布の測定を通して探索する事である。本研究では非常に弱く束縛された最外殻中性子が原子核ポテンシャルの外にしみ出して形成される中性子ハロー核の発見を研究の手がかりとし、未踏の中性子過剰核における殻構造変化、新魔法数の存在を調査する。 本研究の計画は次のようなものである。初年度に、核半径・運動量分布測定実験に必要な検出器の作成を行い、最先端加速器施設理研・RIビームファクトリー(RIBF)でデータを取得する、次年度は、必要なら追加実験を行い、解析・データ解釈を完成させ、研究期間2年の間に成果発表を行う。幸いにして、研究初年度に当たる当該年度で無事にRIBFにおける実験を成功させる事ができ、必要なデータのほとんどを取得する事ができた。さらに、今のところまだ暫定的な解析結果ではあるが、取得したデータの中に、不安定原子核の重大な殻構造変化によって発生したと考えられる新中性子ハロー核の存在を確認する事ができた。このハロー原子核は本研究によって世界で初めて発見されたものであり、その科学的意義は非常に大きい。できるだけ公表を急がなければならない。また、今後の解析でさらに新魔法数の存在について情報を引き出し、本研究を完成させる。
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