研究概要 |
本研究では,ワイドギャップ半導体を用いた微小共振器における共振器ポラリトンの精密な状態制御と,それを利用した新奇な光物性の観測を目指している.その実現のために,まず共振器の作製と試料評価,理論的解析に至る全ての行程を独自で統一的に行う.また,それぞれの結果を互いにフィードバックさせることにより,共振器ポラリトンの状態の的確な見積と,共振器の精密設計が可能となる.さらに,顕微測定,波数空間の精密測定,時間領域測定を行うための実験系を開発・構築する.これらにより,共振器ポラリトンの詳細を明らかにし,その状態を精密に制御可能となった後に,Rabi振動の観測などさら発展的な実験を行い,新しい光学応答の可能性を調べる. 本年度は,試料の設計・作製とそれにともなう実験的評価,理論的解析を行った。試料の作製,理論的解析を進め,その結果,作製した試料における共振器ポラリトンの光学応答の特性を正確に理解することが出来た.特に,ワイドギャップ半導体を用いた微小共振器における,共振器ポラリトンの状態について,共振器の光学的な空間構造とRabi分裂エネルギーの値や共振器のQ値などのパラメータとの相関を調べた例は今までない.従って今回得られた結果は,今後の半導体微小共振器を用いたあらゆる基礎・応用研究に対して一つの指標となる重要な結果であると考えられる.
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