物質は光(光子)を吸収することによって、エネルギーが高い状態、いわゆる励起状態を形成する。X線領域でも1光子で2電子以上が励起される「多電子励起」状態が観測されるが、MnやFeのような元素ではその確率は小さい。しかし、近年の高輝度放射光の出現によって、「多電子励起」状態が観測できるようになった。その励起機構を解明するために、新たな観測手法、高エネルギー分解能X線発光分光装置を開発し、高精度スペクトルの計測に成功した。得られた信号強度は、期待される程大きくはなかったものの、得られた結果は今後、多電子励起機構を解明する上で重要な役割を果たすものと期待される。
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