研究課題
2008年に日本で発見された「スピンゼーベック効果」は、熱エネルギーからスピン(磁気)の流れであるスピン流を作り出す現象である。生成されたスピン流はスピンホール効果と呼ばれる現象を用いることで電気の流れに変換されるため、スピンゼーベック効果を用いれば通常の熱電現象と同じように熱エネルギーから電気の流れを作り出すことが可能となる。そのため、スピンゼーベック効果は新たな熱電現象として大きな発展の可能性を秘めている。この研究課題はスピンゼーベック効果のメカニズムの解明を目指しているが、本年度はスピンゼーベック効果のある種の逆過程に相当する、スピン流により熱が運ばれる現象を中心に研究を行った。具体的には、外部磁場方向によって定められる一方向にしか進まない特殊な表面スピン波スピン流がマイクロ波によってモード選択的に励起された状況を想定し、この表面スピン波スピン流が引き起こす熱流現象の研究を行った[対応する実験は An et al., Nature Mater. 12, 549 (2013)で報告されている]。主に系の温度を規定するフォノン系と、一方向性を持つスピン波系が相互作用するというモデルによる解析の結果、スピン波スピン流に伴う熱流(マグノンペルティエ流と呼ぶべきかもしれない)の存在を仮定すれば、上記の文献で報告された現象がこのような非常に簡単なモデルによって説明できる事を明らかとした。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 3件)
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