研究課題
擬一次元π電子系のスピン密度波と局在d電子スピンの反強磁性という2つの秩序変数が共存・競合するπdハイブリッド伝導体(DIETSe)_2Xの単結晶試料作成と物性制御を行った。X=FeCl_4塩やX=FeB_r4塩などについて、NMRなどの測定に必要な、サイズの大きい単結晶試料を作成するために、支持電解質の濃度・温度・電流値などの電解酸化条件をいろいろ変えて、結晶育成を行った。さらに、以下に述べる混晶試料の作成も試みた。FeCl_4塩とFeBr_4塩は同形の結晶構造を持つが、その低温電子物性や磁気構造などは大きく異なっている。そこで、それらの陰イオンを混ぜ合わせた混晶(DIETSe)_2(FeCl_4)_<1-x>(FeBr_4)_xを作成することにより、両塩の中間状態にある物質の構造・物性を系統的に調べた。支持電解質のFeCl_4^-イオンとFeBr_4^-イオンの濃度をさまざまに調整し、電解酸化法によって、陰イオンを混合した試料の作製を行った。得られた単結晶試料の構造解析、SEM・EDXによる成分分析を行い、構造と組成を決定した。EDXの結果から、塩素と臭素はそれぞれ結晶中で均一に分散しており、陰イオンは空間的に均一に混合していることが確認された。混晶の電気伝導度の測定を行った結果、FeCl_4塩にFeBr_4を少量ドープする事によって、スピン密度波転移が劇的に抑えられ、さらに低温において大きな負の磁気抵抗が観測されることを見出した。
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