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2010 年度 実績報告書

Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物における電荷移動・電荷不均化現象の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22740227
研究機関京都大学

研究代表者

齊藤 高志  京都大学, 化学研究所, 助教 (40378857)

キーワード異常高原子価 / 電荷移動 / 電荷不均化 / Aサイト秩序型ペロブスカイト
研究概要

LaCu_3Fe_4O_<12>は温度誘起電荷移動現象を示す極めて珍しい例である。この現象にはCu^<3+>/Fe^<3.75+>といった異常高原子価イオンが係わっており、大きな負性熱膨張や金属-絶縁体転移を伴う。本課題の平成22年度の成果は以下の通りである。
(1)LaCu_3Fe_4O_<12>の圧力下におけるメスバウアー測定、X線吸収測定、X線結晶構造解析などを行い、その電子状態の温度-圧力相図を作製した。約3GPaという比較的低い圧力において電荷移動転移が誘起されることを見出した他、さらに高圧においてFeの電荷不均化現象の存在が示唆された。これらの事から、この物質の電子状態が[Cu^<3+>/Fe^<3+>]状態と[Cu^<2+>/Fe^<3.75+>]状態の間の微妙なバランスの上に成り立っており、さらに異常高原子価イオンは非常に多彩な電子状態を発現しうることが示された。
(2)La^<3+>サイトを一部Ca^<2+>で置換した(LaCa)Cu_3Fe_4O_<12>固溶体の合成に成功した.放射光を用いた粉末結晶構造解析を行い、その価数状態の温度-組成相図を作製した。その結果、Ca置換に伴ってCuサイトにおいて+2価状態が徐々に安定化することや、50%程度Ca置換することで基底状態がFeの電荷不均化状態[Fe^<(4+δ)+>/Fe^<(4-δ+>]へと変化することを見出した。
これらの成果は、これまであまり知られていなかった異常高原子価イオンが起こす電荷移動や電荷不均化現象に関する理解を大きく広げた。このことは物性物理学的な意義を持つ上に、異常高原子価イオンを活用した新規機能性材料の創出にも大きく貢献できる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2010

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Charge transfer and antiferromagnetic order in the A-site-ordered perovskite LaCu_3Fe_4O_<12>2010

    • 著者名/発表者名
      W.T.Chen, T.Saito, et al.
    • 雑誌名

      Journal of Materials Chemistry

      巻: 20 ページ: 7282-7286

    • 査読あり
  • [学会発表] High pressure synthesis of new A-site-ordered perovskites2010

    • 著者名/発表者名
      Takashi Saito, et al.
    • 学会等名
      2010 International Chemical Congress of Pacific Basin Societies
    • 発表場所
      アメリカ合衆国
    • 年月日
      2010-12-17

URL: 

公開日: 2012-07-19  

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