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2011 年度 実績報告書

酸化状態の連続制御によるジシアノ鉄フタロシアニンの特異な分子磁性の研究

研究課題

研究課題/領域番号 22740239
研究機関東京大学

研究代表者

木俣 基  東京大学, 物性研究所, 助教 (20462517)

キーワード分子磁性 / 電子スピン共鳴 / デバイス構造
研究概要

本研究の目的は電界効果トランジスタ(FET)構造に代表されるデバイス構造を用いて,分子性結晶の酸化状態を様々に変化させ,それに伴う磁気状態の変化を電子スピン共鳴(ESR)を用いて観測する事である.当初はフタロシアニン分子を含む有機磁性体を対象とする予定であったが,デバイス構造の作成に適した薄膜単結晶の作成が困難であったため,薄膜単結晶の作成が比較的容易と考えられる,BEDT-TTF系有機伝導体を用いて,デバイス構造の作成を試みた.その結果電荷秩序系有機伝導体α-(BEDT-TTF)2_L_3を用いた試料において,電界効果による伝導度の変調を観測した.また,今回我々が作成したいくつかの試料においては,正負のゲート電圧両方において伝導度が上昇する,両極性の振る舞いを観測した.この結果は過去には報告されていない新規なものである.また,いくつかのデバイスにおいて試料依存性を測定する事により,この系においては正孔の注入効率のみが有機半導体と電極,またはゲート絶縁膜との界面状態の影響を強く受ける事が明らかになった.また,電荷秩序状態における伝導度の活性化エネルギーはゲート電圧にほとんど依存しない事も明らかになった.この結果は同様に強相関効果によって絶縁化しているモット絶縁体を用いた素子とは対照的な結果であり,二つの絶縁体状態における格子歪みの有無を反映していると考えられる.これらの結果は現在論文として投稿中である.また,FET構造における伝導チャネルに代表される,非常に微小な領域からのESR信号を観測するための近接マイクロ波を用いたESR測定プローブの設計を行った.このような装置はこれまであまり例がなく装置開発の意義は大きい.部品加工業者のトラブルによって部品の納入が大幅に遅れたが,今後組み立ておよびテスト,調整を行う予定である.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 電荷移動錯体単結晶α-(BEDT-TTF)-2I_3を用いた電界効果トランジスタの作製2012

    • 著者名/発表者名
      石原拓真, 木俣基, 田島裕之
    • 学会等名
      日本物理学会第67回年次大会
    • 発表場所
      関西学院大学
    • 年月日
      2012-03-24

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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