本研究の目的は、強磁性超伝導体URhGe及びUCoGeにおけるフェルミ面の特性をドハース・ファンアルフェン(dHvA)効果測定により調べ、磁性と超伝導発現に深くかかわる5f電子の状態を明らかにすることである。22年度、UCoGeについてはフランス原子力庁(CEA-Grenoble)との共同研究において、微小ながら高純度単結晶の育成に成功し、磁気抵抗測定を行った。その結果、シュブニコフ・ドハース信号の観測に成功し、さらに角度依存性を調べることで比較的重い有効質量(約25m_0)を持つ球状ポケットフェルミ面の存在を明らかにした。この結果は、組成比111のウラン化合物で観測された初めての量子振動であると同時に、本研究課題であるUCoGeの電子状態の解明に対する最初の成果である。研究の計画に対しては当初の予定に従い、結晶育成条件とフェルミ面観測に必要な純度の目安が明確となった。今後の磁場変調法によるdHvA効果測定による詳細な研究に対しては、高純度結晶の大型化が課題である。 URhGeについては、当初の研究計画に従い、ウラン金属原料の純良化と結晶育成・評価をすすめ、結晶の高純度化条件の絞込みを行った。特に、ウラン金属原料の純良化については、URu_2Si_2等の他のウラン化合物の純良化も含めて有効性を明らかにし、条件は確立した。URhGeの単結晶については、次年度以降計画されているdHvA効果測定用に、試料の準備と結晶育成を継続し、dHvA信号の観測に向けた世界最高純度を目指している段階である。
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