近年、高度に洗練された半導体の微細加工周辺技術を、超伝導体の基礎研究と組みあわすことによって、分野横断型の先端的領域が形成される機運がたかまりつつある。まず、それにさきがけ、本申請の研究グループが行ってきた研究をのべる: [1]エキゾチックな超伝導体における量子渦の電子構造とダイナミクスの研究。これを超伝導ナノワイヤの文脈でデザインおよびコントロールするというのが端緒になる。これは研究代表者(守田)が中心となり遂行した。つまりシミュレーションなどをベースにした、研究のグランドデザインおよび基礎物性の測定および解析によるフィードバックである。 [2]カーボンマテリアル(カーボンナノチューブやグラフェン)による、量子ドットなどの微細加工技術・極低温/強磁場下での輸送現象および電磁波応答。これが本研究の基盤技術になる。守田グループがシミュレーションによるグランドデザインおよび基礎物性測定をおこなうのに対し、共同研究者と協力して、微細加工技術の粋を用いたナノマテリアルの作製および極限物性実験を担当する。 現在は、以上のここ数年の研究成果を背景に、全てを合流させ昇華させるタイミングである。また量子デザインに関しても、カーボン量子デバイスおよび超伝導ナノワイヤデバイスに関しては、量子シミュレータは既に完成しており、前者については一部論文掲載済み、その他に関してもすべて国際会議などでアナウンス済みである。また基礎物性測定に関しても、すでに終了しており、現在、最初のレター論文を準備中である。
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