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2011 年度 実績報告書

大腸菌のミクロな振舞いと集団的パターン形成を繋ぐ階層的秩序形成の理解

研究課題

研究課題/領域番号 22740249
研究機関千葉大学

研究代表者

櫻井 建成  千葉大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (60353322)

キーワード化学物理 / 数理物理 / 非線形科学
研究概要

大腸菌の遺伝子レベルのミクロな現象から、細胞個々の動きと細胞間の相互作用、そして集合した時のマクロな振舞など、各階層で観測される秩序形成は良く研究されている。また大腸菌のマクロな秩序形成は非平衡系におけるパターン形成の一例として知られている。大腸菌の振舞いにおいてミクロからマクロを繋ぐ階層的秩序構造を明らかとし、その秩序構造とエントロピー生成の関係を明らかとすることを目指した。平成22年度の結果を踏まえ、大きく分けて下記の2つの研究を行った。
(1)個々の大腸菌の動きの観測(大腸菌の位置情報と速度情報)とその統計量から大腸菌のマクロなパターン形成の理解を行った。具体的には、初期栄養濃度や寒天の硬さをパラメータとしたときの大腸菌の平均移動距離を測定し、マクロな物理量である拡散係数や移流係数との関係を議論した。初期濃度により大腸菌の有効拡散係数が変化する可能性がある結果が得られたものの、その結果と大腸菌のパターン形成に関して定量的な関係を議論するには至っていない。それは来年度の課題である。
(2)上記の実験を基に可逆過程のある素反応(増殖項について)による数理モデルの構築を行い、線形非平衡系において用いられるエントロピー生成量の定義を用いて計算を行った。具体的には、栄養濃度に依存した変数を考慮した数理モデルを用いた数値計算を行い、大腸菌パターン形成におけるスワムリングの特徴を再現することに成功した。しかしながら、パターン形成とエントロピー生成量の関係を導きだすことはできなかった。後者に関しては、保存則を適用しないエントロピー生成の計算を行っており、今後の課題となっている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成23年度は、3年計画の2年目に当たる。実験と数理計算において、毎年新たな課題は出ているが、おおむね当初の計画の流れに沿っている。

今後の研究の推進方策

平成24年度が、本研究の最終年度である。過去2年間に得られた知見を基にそれらを発展させる。ただし、エントロピー生成の計算には、保存則を仮定しない定義や拡張熱力学の概念を取り入れる必要がある。それに関していは、随時新しい概念を取り入れながら実験結果との比較を行っていく。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2011

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 大腸菌パターン形成研究の現状と課題2011

    • 著者名/発表者名
      櫻井建成
    • 学会等名
      研究集会「放物型発展方程式とその応用」
    • 発表場所
      大阪大学(大阪)
    • 年月日
      2011-09-23

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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