第一原理的に電子格子相互作用を計算し、格子振動が電子状態に及ぼす影響について検証を行った。特に超伝導に関しては、従来用いられていた手法よりもより基本的な方程式に立ち返って、超伝導転移温度を計算するプログラムを開発し、実際にフラーレンの超伝導に適用することで、実験の傾向と整合する結果が得られることを示した。さらに、ダイヤモンドにおいては、格子振動を取り込むことによりバンドギャップの温度依存性や同位体効果の実験を再現できることを示した。一方、物質設計として、BNナノチューブに内包された一次元アルカリドープフラーレンが従来の三次元のものと同様高い転移温度を持つ可能性を示した。また、細いチューブの今後の応用を見据え、その電子状態や光学応答についても調べ、細いチューブが発光しない場合が多いことを示した。
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