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2011 年度 実績報告書

絶対温度が負となる非粘性2次元点渦系での粒子性に由来する拡散項の理解

研究課題

研究課題/領域番号 22740254
研究機関静岡大学

研究代表者

八柳 祐一  静岡大学, 教育学部, 准教授 (30287990)

キーワード負温度点渦系 / Klimontovich方程式 / 拡散項 / 運動論的方程式 / Fokker-Planck方程式 / Euler方程式 / Onsager理論
研究概要

2次元非粘性渦度方程式は,Diracのデルタ関数の集合で書かれる離散解(点渦解)を有する。点渦という「粒子」の集合が運動している系には,点渦同士の衝突に類する効果により実効的な粘性がでることが経験則として指摘され,平成22年度に粒子性に由来する衝突項を解析的に評価することに成功した。今回は,この結果をもとに,点渦系に対する運動論的方程式を導き,平衡状態への緩和がどのように行われていくのか,緩和時間などを含めて総合的に評価を行った。
当初,点渦系を記述する運動論的方程式にはFokker-Planck方程式の右辺に含まれる摩擦項が現れないと予想していたが,点渦系が同一の循環をもつ場合について詳細な計算を行った結果,摩擦項に対応する効果があること,および渦度ω(r)が,ω(r)=ω_0exp[-βΩ_0ψ(r)](ただし,ω(r):渦度場,ω_0:渦度の係数,β:逆温度,Ω_0:点渦の循環(定数),ψ(r):流れ関数)の形の分布になるとき,拡散項と摩擦項が釣り合い,Fokker-Planck方程式の右辺はゼロとなること,点渦数が無限大の連続極限で拡散項と摩擦項の効果は相殺してゼロとなることを明らかにした。また,点渦系は点渦同士の相互作用を決めるGreen関数が,長距離力である重力と本質的に同等であるため,点渦系の緩和時間は,重力多体系の緩和時間であるN^2に比例すると考えるのが一般的であったが,上記の結果は,点渦系の緩和時間がNに比例することを示唆している。
これら一連の結果は,点渦法という数値シミュレーション技法が,高レイノルズ数の流体系に向いた方法であることを明らかにしたという点で,大きな成果であると言える。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 2次元点渦系での粒子性に基づく散逸効果2011

    • 著者名/発表者名
      八柳祐一, 羽鳥尹承
    • 雑誌名

      京都大学数理解析研究所講究録

      巻: 1749 ページ: 37-45

  • [学会発表] 2次元点渦系の運動論的取り扱い2012

    • 著者名/発表者名
      八柳祐一, 羽鳥尹承
    • 学会等名
      第61回理論応用力学講演会
    • 発表場所
      東京大学生産技術研究所(東京都)(招待講演)
    • 年月日
      2012-03-07
  • [学会発表] 2次元オイラー方程式における点渦解に現れる粘性2011

    • 著者名/発表者名
      八柳祐一, 羽鳥尹承
    • 学会等名
      Plasma Conference 2011(日本物理学会(領域2)2011年秋季大会)
    • 発表場所
      石川県立音楽堂(石川県)
    • 年月日
      2011-11-25
  • [学会発表] Analytical derivation of diffusion coefficient of two-dimensional point vortex system with Klimontovich formalism2011

    • 著者名/発表者名
      Yuichi Yatsuyanagi, Tadatsugu Hatori
    • 学会等名
      RIMS Camp-style Seminar "Modern approach and developments to Onsager's theory on statistical vortices"
    • 発表場所
      Apical Inn Kyoto(京都府)
    • 年月日
      2011-08-29
  • [学会発表] 2次元点渦系の粘性に関する考察~運動論的方程式での連続解と粒子解~2011

    • 著者名/発表者名
      八柳祐一, 羽鳥尹承
    • 学会等名
      京都大学数理解析研究所共同研究集会「オイラー方程式の数理:カルマン渦列と非定常渦運動100年」
    • 発表場所
      京都大学数理解析研究所(京都府)
    • 年月日
      2011-07-22
  • [備考]

    • URL

      http://www.ipc.shizuoka.ac.jp/~eyyatsu/

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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