ナノメートルのスケールの生命現象では、プロトンの微視的な振る舞いが重要な役割を担う。本研究では、アミノ酸のプロトン親和性に対する環境の効果を量子論的手法により原子スケールで調べた。それにより、蛋白質の立体構造情報の量子論的解析法の確立と、その構造・機能相関を原子スケールで解明するためのフレームワークの提唱を目指した。(1)水溶液中のアミノ酸単体の環境、(2)プロトン輸送を担うアミノ酸の周りの蛋白質環境(チトクロム酸化酵素)、(3)分解反応を担うアミノ酸の周りの蛋白質環境(ナイロン分解酵素)に対し、各々の蛋白質環境の生理的な構造の意義を第一原理計算の手法を用いてプロトン親和性の観点から解明した。
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