研究概要 |
2008年6月14日に発生した岩手・宮城内陸地震は,Miura et al.,(EPS,2004)によって明らかにされた奥羽脊梁山脈に沿った歪み集中帯の中で発生した西北西-東南東に圧縮軸を持つ逆断層型地震である.地震後の上下地殻変動場の時空間的な分布は,上部地殻の厚さおよび粘性層の粘性係数などの値を拘束する上で重要である.この様な背景の元,詳細な上下地殻変動場の把握を目指し震源域周辺における水準測量を行った.水準測量を行った路線としては国道342号線に沿った東西路線であり,その東端は一等水準点5444,西端は東北大学のGPS観測点(ICNS)に新設した水準点である.総路線長は28.3kmであり,この路線を2010年8月23日から27日の期間測量を行った.当該路線の中間地点までは既存点として一等水準点5444を含め公共測量点が計8点存在する.これらの公共測量点は国土地理院によって地震発生直後の2008年6月,10月と2009年6月に測量が行われているため2010年の測量により地殻変動を検出可能である.得られた水準点の変動は震源域に向かって顕著な沈降を示し,その沈降量は最大で17.5mmに達する.図中の破線はOhzono et al.,(submitted to EPS)が推定した粘弾性緩和モデルにより予想される同期間の上下変動量を示す.両者は良い一致を示し,GPSデータから求められたモデルを水準測量からも支持する結果となった
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