研究概要 |
沈み込むプレートに関わらず一般に地震活動の水平方向の不均質性を説明するための要素として、流体の関与が強く示唆されている.プレート内に存在する流体を検出する地震学的方法として、人工震源を用いた反射法地震探査が有効であるが、二重地震面の下面付近については人工震源により励起できる波では震源のエネルギーが不足している。本研究の目的は(1)沈み込む太平洋プレート内部の不均質構造を地震波干渉法により推定、(2)浅部の二重浅発地震面の地震活動に関連した速度不均質構造を抽出し、特に下面の地震活動度の空間変化に関連した地震波散乱源の空間分布を調べることで、下面の地震活動へのプレート内流体の分布を調べることである。さらに(3)リソスフェアーアセノスフェア境界の深さ分布を高分解能で調べることにより、沈み込むプレートの変形およびプレートの内流体分布により形成されるであろう二重面の地震テクトニクスの解明を試みる。H23年度は主に宮城沖の海底地震計記録について自己相関解析を実施し,地震前後の自己相関関数の時間変化について調べた。その結果,地震発生後にみられる自己相関関数の変化には二つのパターンがあることがわかった。一つは、地震後に観測点周囲の一様な速度低下を示唆する変化のパターンであり、もう一つは,局所的な速度構造変化を示唆するパターンであった。これらの要因として、一様な速度変化については強震動による表層の損傷であり、局所的な構造変化としては地震時のプレート境界面近傍の物性変化が考えられる。
|