研究概要 |
惑星科学の分野において極めて重要なプロセスである天体衝突現象を、GPU(Graphics Processing Unit)を用いて、これまでにない高解像度でシミュレーションを可能にするコードを開発することが本研究の第1の目的である。そして、このコードを用いて、解像度の点で決着のついていない月形成問題などの解決を図り、本コードの有用性を示すことが第2の目的である。第3の目的として、衝突計算コードを用いて日本の衝突実験グループと共同研究を行うことである。平成23年度は、これまでに作成した衝突プログラムコードを用いた高解像度の衝突シミュレーションと、衝突プログラムコードの改良を行った。 100万粒子を超える高解像度の月形成衝突シミュレーションを行ったところ、原始月円盤に腕状の構造が現れたが、Wada et al(2006)で示されたような角運動量輸送はあまり起こらず、現在の月を説明するような質量と角運動量をもった円盤が形成された。 また、衝突実験グループ(杉田研・東大)との共同研究も行っており、衝突計算コードの有用性を示すことも出来た(Sekine,Genda,Sugita,K3adono,Matsui2011,Sekine&Genda2012)。 また、申請者が作成した計算コードで、高解像度の衝突シミュレーションをすることによって、衝突天体本体だけでなく、衝突時にばらまかれる破片についても定量的に議論ができるようになった。例えば、ばらまかれる破片のサイズ分布や速度分布といったデータは、惑星形成の力学的側面だけでなく化学的側面にとっても極めて重要な情報である。
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