平成22年度に実施した研究の成果は以下の二点である。 1:低エクマン数でのダイナモの数値シミュレーションを高精度で行えるよう、動径方向に対する離散化を高次の結合コンパクト差分法を用いて行う手法を採用してコードの開発・チューニングを行った。 三次元MHDダイナモシミュレーションをこれまでにない低粘性、高解像度、高精度で行うために、3点ステンシルによる結合コンパクト差分法をコードに組み込んだ。境界付近のクロージャー処理には数値分散を最小化し、数値拡散を付加して安定性を増す手法を採用した。これらの作業の結果、シミュレーションを安定に実施し、高精度化を達成することに成功した。プログラムの高速化においては、ボトルネックとなっていたバンク競合を頻繁に生じる箇所を同定・解消することに成功し、従来の約2.7倍の高速化を達成した。 2:ベンチマーク問題を解き磁場無しの熱対流問題と磁場を入れたダイナモ問題に対する本手法の有効性を確認した。 既知のベンチマーク解との比較を行った結果、低解像度でも非常に良い一致が見られ、本プログラムの有効性が確認できた。更に、他の手法を用いた結果との比較を行った。その結果、本研究の手法が他の手法を上回る収束性能を示すことを確認した。 以上の研究結果から、本研究で採用した手法の有効性を確認することができた。次年度において超低粘性ダイナモシミュレーションを本格的に実施するための準備が整った。
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