研究課題/領域番号 |
22740294
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
吉村 令慧 京都大学, 防災研究所, 助教 (50346061)
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キーワード | 観測手法 / 比抵抗構造 |
研究概要 |
本年度は、既に開発済みの電磁誘導問題に対するフォワードソルバーを直流法に適応可能なように、またローカルな3次元構造解析に対応可能なように改変を加えるため、広く用いられているDey and Morrison(1979)に基づく比抵抗法コードとの比較・検討を進めた。直流電車からの漏洩電流を電気探査信号として用いる場合、漏れ抵抗や電流量が一定でないことを考慮した計算を行う必要がある。現時点でシンプルな構造に対する応答の違いなどの比較を行っている段階であるが、後述する現実的な3次元比抵抗モデルに対して受信信号レベルの規格化が可能であるか更に検討を進める予定である。 テストフィールドとして用いている2007年能登半島地震震源域周辺陸域の電磁場データを用いて、Magnetotelluric法に基づく3次元構造解析を行った。本研究で開発する比抵抗法の妥当性を検証するためには、基礎情報として3次元構造を推定しておく必要がある。今年度の3次元解析では、複数測線による2次元解析結果の3次元空間補間構造を初期・優先モデルに設定し、インバージョンを行った。得られた3次元構造では、Yoshimura et al.(2008)に調和的な、本震破壊領域ならびに余震活動域下部に低比抵抗領域が推定され、その空間的広がりも地震活等に対応することが確認された。加えて震源(破壊開始点)直下は、より低比抵抗の程度が増す結果が得られた。 ノイズ(電車からの漏洩電流)の状況の異なる地域での比較を行うために、次年度比較観測を実施する予定であるが、前年度開発・室内テストを行った銅一硫酸銅電極を、野外においてのテストを行った。既製品の鉛-塩化鉛電極と比較して同程度の品質の地電位差データを取得できることが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
テストフィールドの3次元構造をMagnet。telluric法により推定が進んでいる点、直流電車からの漏洩電流が多点の観測点においてどのような電磁場記録として収録できるかの精査が完了した点、他のフィールドでの比較観測の準備が進んでいる点など、当初計画より多少進展している。対比して漏洩電流を対象とするフォワードソルバーの改良については、他ソルバーと比較しての解くべき問題の確認など進展しているものの若干の遅れがみられる。3か年の計画として総合的に評価するとおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
漏洩電流を用いた構造探査法を新たに開発することが、本研究課題の主目的であるが、実用化のためには比較検証も重要である。従って、従来の方法(Magnetotelluric法など)で予め構造を推定しておくことは必要不可欠であり、これまで得られた構造モデルを高度化することも重視したい。多点で観測される漏洩電流を再現するフォワードソルバーの改良は引き続き推進し、理論計算により観測値が説明可能か、探査深度や感度分布が着目する構造に対して十分か検討を進める。
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