研究課題/領域番号 |
22740295
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
境家 達弘 大阪大学, 理学研究科, 助教 (60452421)
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キーワード | 地球・惑星内部構造 / 固体地球物理学 / 高性能レーザー / 地殻・マントル物質 |
研究概要 |
地球惑星内部物質の物性を調べる一つのツールとして、地球中心部の状態をも生成可能であるレーザー衝撃圧縮法に着目して、大型レーザー装置を用いた衝撃変成手法を開発することを目的として研究を行った。地球惑星内部物質を使ったレーザー誘起衝撃波による衝撃変成に関する研究は国際的にもほとんど例がなく、地球惑星内部条件(高温高圧)を経験した試料を回収することはもちろんのこと、レーザー衝撃変成の妥当性を評価した例はないので、この手法が確立されれば地球惑星科学研究だけでなく物質科学研究等への応用も期待できる。 本年度は、地球内部や阻石の主要構成物質であるオリビンとクォーツとかんらん岩を使って、レーザー衝撃変成実験を行った。試料表面には金属板(チタン)を配置し試料の噴出を抑制した。金属板の厚みはレーザー誘起衝撃波の等圧核が試料に到達するように調整した。これらにより高温高圧状態を経験した試料が噴出してしまうことなく回収することが出来た。回収した試料はレーザー照射中央部の断面を切り出して薄片化し、衝撃波伝播による変成状態の変化を光学観察(光学顕微鏡、ラマン分光観察)および電子顕微鏡観察により評価した。観察結果から、試料中に変成状態の異なる3つの領域が存在することがわかった。試料表面付近は高温高圧状態を経験したことによる溶融の痕跡が見られた。これより深部は衝撃波が圧力減衰しながら伝播している痕跡が見られ、試料の破壊(クラック)形状によって異なる領域に分けられた。これらの変成状態の変化は瞑石衝突クレーター深部において考えられているモデルと類似していることがわかった。試料中の変成分布から3つの領域の境界の位置とそこでの圧力を決定し、試料中での衝撃波の圧力減衰率を評価した。その減衰率はガス銃を使った衝突模擬実験の結果や理論シミュレーションによる結果よりも大きい値であることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
レーザー衝撃圧縮された試料の回収に成功し、その断面の観察から変成状態の異なる領域が見つかった。各領域を分析することで、過去に提案されていたモデル隕石クレーター深部の変成分布)と類似していることがわかり、惑星科学研究への応用を示唆した。この結果は、本研究が地球惑星科学研究の一つのツールとなり得ることを示唆しているため。
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今後の研究の推進方策 |
地球惑星内部物質の高圧相回収については未だ結論が出せていないので、異なる実験条件での回収実験を行い、高圧相の回収が可能かどうかを今後も調べる。一方で、レーザー衝撃変成した試料の回収法はほぼ確立しているので、地球惑星内部物質を使った回収実験を行い、その変成分布の観察から惑星科学研究への応用を目指す。また、試料として用いる地球惑星内部物質の基礎物性(音速)が必要であることがわかったので、研究計画にはなかったが、試料の物性測定(音速等)を行う予定である。
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