研究概要 |
地球自転速度の変動が核の活動に影響を与え、地球磁場の変動に影響を与えているという議論が近年なされている。例えば、ミランコビッチ周期での地球の軌道要素の変化による日射量の変動により、氷期一間氷期サイクルが生じ、それに伴う氷床の消長(水の移動)がマントルの慣性モーメントの変化の変化を生じ、地球回転速度の変動を引き起こすという説が提唱されている。しかしながら、回転速度変動の効果を考慮した地球ダイナモモデルはこれまで存在しなかった。そこで平成22年度は、世界に先んじて回転速度変動の効果を取り入れたダイナモモデルの構築及び数値シミュレーションを行う事を主な目標とした。 平成22年度はモデルの構築からスタートし、これまでのダイナモモデルに、回転速度変動による効果として、コリオリ力項の回転速度Ωの時間変動およびその時間微分に比例する項を運動方程式中において考慮したモデルを作成した。続いて、エクマン数1.9E-5,レイリー数1.5E8、プラントル数及び磁気プラントル数は1でダイナモ計算を行った。まず、referenceとして回転変動がない場合について計算を行い、この場合磁場のダイポール成分が卓越し、その意味で地球磁場に近い解が得られた。続いて、回転変動として変動を単周波数のサイン関数で与え、変動の振幅と周期はフリーパラメータとしていくつかの計算を行った。例として周期を磁場散逸時間、変動振幅を回転速度の2%として与えた場合、各物理量に回転変動無しの場合には見られない変動が現れる事が分かった。外核内の対流運動エネルギーには約50%、磁気エネルギーには約60%の変動が回転変動周期に伴い見られ、磁場のダイポール成分もそれに伴い変動する事が分かった。
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