研究課題/領域番号 |
22740317
|
研究機関 | 独立行政法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
小木 雅世 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境変動領域, 研究員 (50392957)
|
キーワード | 気候変動 / 北極海 / 海氷 / 大気循環 |
研究概要 |
近年の北極海の海氷が減少している理由について、北極海を覆う大気循環の果たす役割について研究することを目的とする。 本年度の研究では、2010年や2011年も、これまで観測された2007年に続く北極海の海氷が減少した年であった。そこで、これまで行ってきた北極海を覆う地表面の風が海氷減少に及ぼす影響についての研究を、2010年、2011年夏の、月ごとの海氷減少と大気循環の関係について、衛星データによる海氷データや大気観測データを使って、海氷が激減した2007年と比べる解析を行った。 その結果、2010年も2011年も、2007年の海氷よりも少なかった月では、北極海を覆う高気圧性循環が卓越し、海氷が多かった月では、高気圧性循環が卓越していなかったことがわかった。つまり、これまで行ってきた年々変動ばかりではなく、月ごとの解析においても、北極海を覆う高気圧性循環が卓越するかどうかで、海氷の増減を決めていることが分かった。この結果は、冬の大気循環よりも夏の大気循環がより海氷増減に大きな影響を及ぼすことも示唆した。 過去の研究では、冬の北極振動などの大気の卓越するパターンが、夏の北極海の海氷減少に影響を及ぼすことが報告されていたが、本研究では、冬の大気循環よりも夏の大気循環が、北極海の海氷減少に重要な役割を果たしているという結果である。この結果は、これまでの研究には存在しない意義のある研究結果である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
近年の北極海の海氷減少には、夏の北極海を覆う高気圧性循環が卓越したことが影響を及ぼしたことを示すことができた。なお、この結果については、論文として投稿中であることから、おおむね順調に進展してきた。ただ、本年度中に論文がpublishedされなかったことが、達成度が計画以上ではなかったと言える。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策については、これまでの研究結果を元に、今後、地球温暖化になった場合に、大気循環と北極海の海氷が、どのように変化していくのかの将来予測を行うため、大気海洋結合モデルにおける将来予測の結果も用いた解析を行う予定である。 また、これまでに行ってきた研究結果を論文として投稿し、publishedされる予定である。
|