研究概要 |
データ同化の成否は、観測データの質・量のみならず、使用する数値モデルの性能にも大きく左右されるため、初年度である平成22年度は、海洋海氷結合モデルOFES(Ocean General Circulation Model for the Earth Simulator)の改良やパラメータの最適化を重点的に行った。特に、全球的な海洋海氷結合シミュレーションのための標準的な外力データセットであるCORE(Common Ocean-ice Reference Experiments)データに対応させ、経年変動外力によるシミュレーションを開始した。 並行して、大気海洋結合モデルCFES(Coupled Atmosphere-Ocean Model for the Earth Simulator)を用いた全球シミュレーションの結果を解析した。北半球海氷密接度の年々変動には、オホーツク海・ノルディック海とベーリング海・ラブラドル海で逆相関となる『双極構造』が明瞭に見られた。これは、近年、人工衛星観測から見出された空間構造(Yamamoto et al.,2006 ; Ukita et al.,2007)と非常によく対応しており、現在、詳細な解析を継続しているところである。 これらのシミュレーション結果の検証や、データ同化の入力として使用するため、アメリカ航空宇宙局(NASA)の人工衛星ICESatによる観測データをアメリカ雪氷データセンター(NSIDC)から取得した。また、ヨーロッパ宇宙機関(ESA)の人工衛星CryoSat 2による観測データが2011年2月より一般の研究者に向けて公開されたことから、利用者としての登録を行い、データの収集を開始した。
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