研究課題
激しいオーロラ活動を伴うサブストームの発生機構は、磁気圏物理学における基礎的な未解決問題である。解明には、サブストーム開始時に磁気圏尾部で発生する諸現象の因果関係を明らかにすることが一つ重要である。これまでの私たちの研究により、磁気圏尾部におけるサブストーム開始に伴うエネルギー解放は、磁気リコネクション領域と磁場双極子化開始領域の中間領域で顕著であり、一方、磁場双極子化開始領域では、エネルギーが増加することが明らかになった。中間領域でのエネルギー解放はこれまで注目されていなかったが、解放された多量のエネルギーのその後の輸送・消費、および、サブストーム開始に対する役割は、サブストーム発生機構の解明にとって重要な鍵であると考えられる。本年度は、これまでのGeotail衛星とTHEMIS衛星の観測による統計および事例解析の結果をもとに、サブストーム開始時の中間領域と磁場双極子化開始領域におけるエネルギー収支と輸送について、エネルギーの種類や粒子種、低周波波動ポインティング束の磁力線に対する向きごとに分けるなど、より詳細に定量的な検討を行った。その結果、高速流のエネルギーは、大部分は熱束として運ばれること、磁場双極子化開始領域に流入するエネルギーの大部分は、尾部側からの高速流よりも、ローブからのポインティング束として運ばれてくること、波動ポインティング束は、高速流と比べると小さいが、背景磁場に平行な成分と垂直な成分は同程度であることがわかった。電子の運ぶエネルギーは、イオンの数分の1から同程度であると見積もった。また、磁気リコネクション領域からの地球方向の高速流の振る舞いについて、さらに考察を行った。磁場双極子化との因果関係を考える際、朝夕向きに逸れることを考慮する必要があると考えられるが、今後、詳細なデータ解析が必要である。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Geophysical Research
巻: 117 ページ: A11214
DOI:10.1029/2012JA017925
巻: 117 ページ: A10207
DOI:10.1029/2012JA017773