研究課題
平成22-23年度には、MDS-1衛星とIMAGE衛星による観測データの解析、および計算機シミュレーションを行い、リングカレントの発達メカニズムとして、「磁気嵐発達前からすでに内部磁気圏に存在していた低エネルギー粒子が、磁場双極子化に伴って生じる周期数秒程度の電磁場擾乱によってローカルな非断熱的加速を受け、リングカレントの一部を形成していく」という結論に至った。平成24年度は、AMPTE/CCE衛星による磁場および高エネルギーイオンフラックスの直接観測データを解析し、この結論の是非を検討した。1987年12月10日の1951UTごろに起こった磁場双極子化をAMPTE/CCE衛星は、真夜中過ぎの内部磁気圏(L~4.9, MLT~2.9 hr)で観測していた。この磁場双極子化の際には微小な磁場擾乱が現れており、スペクトル解析の結果、その特性周期は数秒程度で、その場における酸素イオンの旋回周期に近いことが分かった。これは、MDS-1衛星で観測されたイベントの性質と非常によく似ており、擾乱のこうした特性が内部磁気圏で一般的なものであることを示唆している。次に、イオンフラックスの変化を調べたところ、酸素イオンは1-10 keVのエネルギー範囲で増大している一方、水素イオン(プロトン)はほとんど変化していなかった。また、酸素イオンフラックスの増大は、主に磁力線に垂直な方向の速度を持つものだけに見られた。これらのイオンフラックス変化の結果は、平成23年度に行った計算機シミュレーションの結果とよく一致する。したがって、今年度に行ったAMPTE/CCE衛星データの解析からも、上記で述べたリングカレントの発達メカニズムの正当性が裏付けられたと考えている。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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