研究概要 |
本課題は、これまで未着手であった振動流の方向変化を中心に、振幅、周期、非対称性の変化によるリップル遷移を対象とした実験をおこない、(1)一次元正弦振動、(2)一次元非対称振動、(3)二次元振動下でのリップル遷移について、堆積物粒径の影響を含めて検討することを目的としている。今年度は、主として一次元正弦振動による実験に取り組んだ。この実験では二次元的な初期リップル(平均粒径:0.2~0.3mm、波長:3~8cm)をあらかじめ形成し、これにさまざまな定常振動(振動と初期リップルがなす角:0~90゜、周期:1~3秒、振幅:10cm以下)を作用させることで、非定常振動流下でおこる既存リップルと振動流の相互作用を模式的に再現し、リップル遷移を引きおこした。特に初期波峰と平行な二次波峰の発生条件に着目して観察を行った。初期波峰と平行な二次波峰は、振動の全振幅が初期リップル波長の3/2以下で、なおかつ初期波峰と振動がなす角が約75゜~90゜でないと形成されにくいことが明らかになった.また,初期波峰と斜交する二次波峰が出現する場合,二次波峰と振動が必ずしも直交しないとする既往研究と同等の実験結果が得られた.これらの結果から、地層中に初期波峰と平行な二次波峰を持つ遷移リップルが保存されている場合,初期波峰を形成した波浪から、波浪の進行方向は変化せず、波浪周期や波高の変化により底面振動流の軌道直径が減少した条件下で形成されたものと推測される。
|