本課題はリップル遷移を対象とし、一次元振動流の諸元(振動流の方向、振幅、周期、非対称性)の変化、二次元振動流の諸元の変化の影響を評価することを目的とし、二方向振動板を用いた一連の実験・流体運動解析をおこなった。その結果、一次元振動流の条件変化に応答したリップル遷移は、振動流の対称性や粒径によらず、初期リップルと振動のなす角が75度から90度の時に、初期リップル波峰と平行な渦の影響を強くうける傾向を示した。この場合、波長と波峰オリエンテーションの変化の双方をともなう遷移においては、波長変化が波峰オリエンテーション変化に先んじて完了する傾向が見られた。特に、両者のなす角が80度以上の場合には、波峰線オリエンテーションの変化は顕著でなく、振動と波峰が必ずしも直交しない傾向が見られた。初期リップルと振動のなす角が50度未満の場合には、初期波峰と関わりなくリップル遷移が進んだ。波長と波峰オリエンテーションを同次に変化させる場合にも、両者の変化はほぼ同時に完了した。この場合、波峰と振動は最終的にほぼ直交した。以上から、波峰線オリエンテーションは、10度程度の波の進行方向変化には寛容であることが明らかになった。本研究課題においては、二次元振動流の変化によるリップル遷移実験も行ったが、遷移過程の類型化にはいたっておらず、今後のさらなる研究が求められる。
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