研究課題
(1)炭酸塩、含水炭酸塩、含水ケイ酸塩メルト生成の現象論的モデルの構築マントル中へは炭素や水素はほとんど含まれておらず、多くは炭酸塩や含水メルトに濃集している。それらのメルトは地球深部においてダイアモンドの生成や深部マグマの発生と関連していると考えられている。特にアルカリ炭酸塩メルトは660km不連続上部で連続的に生成されており、部分溶融によって生じたマグマは浸透流として急速に重力的分離をすると考えられている。しかしながら、空隙率が0の岩石中を流れる際は異なるメカニズムを考える必要がある。そこでメルトの浸透は界面エネルギー由来の溶解促進メカニズムによって進むという研究が報告されている(Hammouda T. and Laporte D., 2000, Geology, 28, 283)。ただし、このメカニズムの場合を考慮した場合、メルトの流速は普通の浸透流より5桁ほど遅く、部分溶融帯でのメルトの分離はダイアピル的輸送によって行われることを示唆している。炭酸塩メルトは岩石粒間を高速で浸透するが、ダイアピルでの浸透を考慮した場合、メルトは高い応力下において岩石壁間を移動すると考えられる。このような粒間メルトにおける圧力溶融クリープは拡散で支配されており、基本的なクリープメカニズムである。本研究の拡散データと岩石粒径を基に計算すると、岩石壁間のメルトの粘性は10^<14>Pa sであることが分かった。これは1年あたり100m~1000m程度ダイアピルが上昇することを示唆している。しかしながら、1年間での炭酸塩メルトの最大浸透深度は1mと制限されているので、実際の炭酸塩ダイアピルの上昇速度は遅いと考えられる。(2)放射光施設Spring-8でX線回折法に基づく高温高圧下における炭酸塩の相平衡実験下記にあるような試料・実験条件に関して実験を行った。1)Na2CO3 温度圧力条件:1-30 GPa、27-1200°C;2)K2CO3 温度圧力条件:1-30 GPa、27-1200°C;3)FeCO3 温度圧力条件:1-30 GPa、24-1400°C;4)CaCO3 温度圧力条件:1-30 GPa、24-1400°C.(3)アルカリ炭酸塩メルトの粘性測定放射光施設PF-ARにおいて3-7GPa、900-1900℃の条件下において、アルカリ炭酸塩メルトの粘度測定を行った。
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