• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実績報告書

熱量測定実験によるシリケイトメルトの熱力学的性質の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22740347
研究機関秋田大学

研究代表者

菅原 透  秋田大学, 工学資源学研究科, 准教授 (40420492)

キーワードマグマ / シリケイトメルト / 熱量測定 / エンタルピー / エントロピー
研究概要

マグマにおける相平衡や元素分配は,結晶とシリケイトメルトの熱力学的性質に基づいて理解することができる現象である.もしも両者の熱力学特性(ギブスエネルギー,G)が温度,圧力,組成の関数として既知であれば,地球深部における部分融解や結晶分化作用を数値計算でシミュレートすることができる.しかしながら,メルトGの組成依存性に関わる混合のギブスエネルギー(Gmix)については,高温下で直接的に測定するための決定的な方法がなく,これまでに定量測定された値も限られている.そこで本研究では,起電力測定法により(100-x-y)SiO_2-xRO-yNa_2O (x=5-22,y=12-30mo1%,R=Ca,Mg,Sr,Ba)組成のメルトに対するNa2O活量を1000℃から1300℃の範囲で求め,その温度,組成に対する変化からメルトの混合エントロピーと混合エンタルピーの組成依存性を推定し,メルトの熱力学混合特性について考察した.
メルトのNa20活量は温度が一定であるとき,RO/SiO2比およびNa2Oが増加するほど増加し,その増加率はROとNa2Oに富むほど大きくなった.メルトにおける非架橋酸素が増加するにつれて原子配置や構造の自由度が増加することが混合エンタルピーの組成変化としても現れているものと考えられる.温度とモル比の割合が一定であるとき,R=Ba>Sr>Ca>Mgの順序でNa2O活量が増加した.このことは,アルカリ土類元素と酸素イオンの結合力が弱くなるほど,Naイオンの自由度が増加することを示唆している.また,y=30においてはROが増加するほどNa2O活量の負の温度依存性が顕著になり,メルトの混合エントロピーに大きな組成変化が生ずることが示唆された.このようにして,シリケイトメルトが有する熱力学混合特性の組成変化を高温で実測し,化学結合やメルト構造と関連づけて考察をすることができた.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2012 2011

すべて 学会発表 (5件)

  • [学会発表] ケイ酸塩ガラス融液の熱起電力測定2012

    • 著者名/発表者名
      中村篤史, 吉田智, 加藤光夫, 三浦嘉也, 松岡純, 菅原透, 東條真, 川口正隆
    • 学会等名
      日本セラミックス協会年会
    • 発表場所
      京都大学
    • 年月日
      2012-03-20
  • [学会発表] ホウケイ酸塩メルトにおけるB2O3の部分モル熱容量2012

    • 著者名/発表者名
      菅原透, 杉村康太, 吉田智, 松岡純, 南和宏, 越智英治
    • 学会等名
      日本セラミックス協会年会
    • 発表場所
      京都大学
    • 年月日
      2012-03-20
  • [学会発表] ガラス融液中のNa2O活量と混合の熱力学特性の関係2011

    • 著者名/発表者名
      瀬戸雅博, 菅原透, 加藤光夫, 吉田智, 三浦嘉也, 松岡純
    • 学会等名
      第52回ガラスおよびフォトニクス材料討論会
    • 発表場所
      姫路,イーグレひめじ
    • 年月日
      2011-11-24
  • [学会発表] High-temperature density and heat capacity of a simulated high-level radioactive waste glass2011

    • 著者名/発表者名
      Sugawara T., Shiono T., Yoshida S., Matsuoka J., Inagaki A., Ochi E.
    • 学会等名
      International Conference on the Chemistry of Glasses and Glass-Forming Melts
    • 発表場所
      オックスフォード大学
    • 年月日
      2011-09-06
  • [学会発表] Temperature and compositional dependence of Na2O activity in Soda-Lime-Silicate melts2011

    • 著者名/発表者名
      Seto M., Sugawara T., Kato M., Yoshida S., Matsuoka J., Miura Y.
    • 学会等名
      International Conference on the Chemistry of Glasses and Glass-Forming Melts
    • 発表場所
      オックスフォード大学
    • 年月日
      2011-09-06

URL: 

公開日: 2013-06-26  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi