濃集メカニズムを考察するために、モリブデンが高濃度に濃集した湖底堆積物を海洋模擬環境である浜名湖(浜松市)にて採取した。堆積物試料を酸分解して、主要元素、微量元素をICP発光分析にて測定した。その結果、湖底堆積物には最大で約80mg/kg程度のモリブデンが含まれていることがわかった。次に、大型放射光施設SPring-8において、堆積物中のモリブデン化学種を分析した。分析手法のXAFS法は元素選択性が高く、高感度であるため、堆積物中に微量に存在するモリブデンの化学種に関する情報を得ることができる。モリブデンは環境中でMo(IV)とMo(VI)の2つの価数を取ることが知られているが、XANES法によってモリブデンの酸化数を調べた結果、堆積物中で主にMo(IV)として存在していることがわかった。
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