核融合炉実現に向けた高温プラズマ研究において、高温且つ高圧力のプラズマを安定して閉じ込める必要がある。しかし、近年、プラズマの急峻な圧力勾配により駆動されるプラズマ不安定性に起因して径方向への輸送が観測され、プラズマ閉じ込めとの関連が示唆されている。コアプラズマ中の高精度計測に適した能動的粒子計測法である重イオンビームプローブを用いて、プラズマ不安定性の一種である静電揺動やMHD揺動の成長、減衰過程のメカニズムを詳細に解明するため、空間二点同時計測可能な改良型分析器の設計、開発を行った。平成22、23年度において、既存の単点計測であった重イオンビームプローブの高信頼性、高精度計測を最大限に活用しつつ、早期に空間二点同時計測を実現させるため、空間二点同時計測可能な改良型分析器を製作、設置した。設置された改良型分析器の性能評価のため、較正実験を行い、開発課題を十分に満たす性能が確認され、空間二点同時計測に成功した。空間二点同時計測による電位/電場計測の精度向上に向け、検出器において検出されるビーム分布形状を計算機シミュレーションから予測し、ビーム分布を最適な形状にフィッティングする新たなデータ処理法を考案した。これにより、電位絶対値算出に必要なビーム分布の同定精度が改善し、電位/電場の算出誤差が低減され、電位/電場計測精度が向上した。平成24年度において、詳細な較正実験を基に信号解析法を改善し、局所電場計測及び電位と密度揺動間の位相差計測の精度を向上させた。これらにより実現された高信頼性、高精度な局所電場及び空間位相差計測を用いて径方向損失の要因となり得る静電揺動の磁力線方向の伝搬機構及び電位/電場形成との相関を解析した。また、これまでの二点時間発展同時計測可能な改良型分析器の開発で培われたイオンビーム制御技術を基に、大規模な多点時間発展同時計測可能な新型分析器を設計した。
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