| 研究概要 |
磁場閉じ込め型のプラズマ核融合実験装置では,ダイバータ領域ヘネオン,アルゴンなどの希ガスや,水素,窒素,炭化水素などの分子ガスを外部から導入し,放射損失と分子活性化再結合を組み合わせることでプラズマ対向壁の熱負荷を低減する方法が検討されている.この際,炉心プラズマ性能を低下させないような周辺プラズマ制御が必要となるが,そのためには周辺部の原子分子の動的挙動を表す物理量である,温度,流速,密度を測定し,制御にフィードバックすることが必要となる.本研究の目的は,二原子分子発光スペクトルのゼーマン分裂を利用することで,受動的な発光分光法単独で二原子分子の温度(並進,振動,回転),流速,密度の局所計測を行うことである.申請者はこれまでに同手法を原子発光スペクトルに対して適用し,原子の動的挙動を局所計測した.本研究課題はその拡張として位置づけている.研究課題実施の初年度である本年度は,磁場中の二原子分子スペクトル形状を評価するための計算コードの開発と基礎実験に基づく計算結果の検証を行った.
計算は断熱近似のもとで摂動法を用いて行った.可視分光測定で得られる波長精度で観測可能な相互作用を考慮し計算コードを構築した.計算結果の検証のために,超伝導コイル内に設置したグロー放電プラズマからのCH分子A^2Δ-X^2II遷移スペクトルを測定した.計算,実験の両者を比較した結果,磁場中でのスペクトル形状を開発した計算コードにより正確にモデル化できることを確認した.これらの成果により,初年度に計画していた研究目的を達成した.
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