研究課題
電子サイクロトロントーラスプラズマにおいて、その平衡形成の主要素である荷電分離電流の形成機構を検証するための計測装置を設計・制作してLATE球状トカマク装置に設置し、計測を開始した。(1)荷電分離による垂直方向電流(荷電分離電流)は真空容器上部へイオン電流、下部へ電子電流が流れることで形成される。これらの大半径(R)方向分布を計測するため、真空容器内に上部イオンコレクタ、上部リミタ、下部リミタ(すべてR方向に12分割)を設置した。真空容器上部へ流れ込む電子を上部リミタにより遮り、上部コレクタでイオン電流を計測する構造とした。上部コレクタは12枚のSUS板(29mmx40mm)よりなり、トロイダル方向に一箇所で計測した。下部への電子電流は下部リミタにより計測した。(2)2.45GHzマイクロ波電力0.5-2.5kW、垂直磁場を印加しない下で、電子サイクロトロン共鳴加熱により水素プラズマを生成して計測した結果、下部リミタにおいて負電流(すなわち電子電流)、上部コレクタに正電流(イオン電流)が検出され、それらのR方向分布が一致していることが分かった。上部リミタ電流はほぼゼロであった。上部と下部での電流のR方向分布が一致することは流体モデルによる平衡理論解析の結果と整合した。(3)上部コレクタに数十Vの正電圧を印加すると負電流が検出され、コレクタに電子が流れ込むことがわかり、イオンエネルギー分解を行うことができなかった。また、コレクタがトロイダル方向に一箇所であったため、全イオン電流値を計測できなかった。(4)イオンエネルギー分解を行うために、電子リペラを備えたイオンコレクタ、全イオン電流値を同時に計測するために、トロイダル方向全面を覆う上部パネル(R方向に分割)を設計・制作中である。
すべて 2010
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)
Plasma Phys.Control.Fusion
巻: 52 ページ: 125004(32)
Proc.23rd Int.Conf.Daejeon, 2010 (Vienna : IAEA)
ページ: EXW/P2-10