1.モード間相互作用に起因する不安定性(分岐)やモード変換を議論する時、ハミルトン力学系においてはモードの「作用・角変数」に着目することが重要であり、それを用いて相互作用を定式化するのが最も自然である。例えば背景場(平衡状態)のパラメータがゆっくり変化した時、孤立したモードの作用変数は断熱不変量として振る舞うことでよく知られる。本研究ではプラズマのような無限自由度系に現れる連続モードに対しても、作用変数が断熱不変量となることを明らかにした。ただし、固有振動数が連続スペクトルを形成しているため、その周波数帯の作用変数の合計(積分)が保存する。さらに、離散スペクトルが連続スペクトルの中へ縮退する時、両者の作用変数の符号が同じならば、固有モードから連続モードへのモード変換が起こり、変換前後で作用変数の合計は保存することがいえる。モード変換によって生じた連続モードのスペクトル幅は位相混合による減衰率(ランダウ減衰率)に相当し、作用変数の保存則からこれが求まることを示した。逆に、作用変数の符号が異なる場合には、固有モードが線形不安定になることが示される(逆ランダウ減衰)。 2.さらに非線形相互作用まで考慮すると、いわゆる三波共鳴によって、波の作用(=作用変数)が二倍になることが知られている(パラメトリック崩壊)。本研究では三つ固有モード間の共鳴相互作用を厳密に解く方法として、変分原理を用いた定式化に着目し、任意のMHD平衡において成り立つ汎用的なモード間結合方程式を導出することに初めて成功した。この定式化方法は連続モードに対しても適用できると考えられ、連続モードを含めた非線形相互作用理論の構築が今後期待される。
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