研究課題
本年度は,水/油界面といった水/有機溶媒界面での水の界面構造と振動和周波(SFG)スペクトルについての研究を行った.水/有機液体界面のような液/液界面は,ミセル,生体膜構造,タンパク質折り畳み,分離,抽出,相間移動触媒など多くの物理化学過程において重要である. 米国オレゴン大学のRichmondらのグループは,界面選択的な和周波発生(SFG)分光法を用いて(1)水/空気,(2)水/四塩化炭素(CCl4),(3)水/1,2ジクロロエタン(DCE)界面のOH伸縮振動スペクトルを測定したところ,(3)の界面のみ構造が消失したスペクトルが得られることを報告した.また(2)の界面では,水素結合していない,いわゆるdangling OHに相当するピークが(1)の界面と比較して若干ブルーシフトすることも明らかにされた.これらのスペクトルは,それぞれの界面における水の構造が全く違ったものであることを示唆しているようにみえる.しかし,3者はいずれも水/疎水性領域界面という点で界面構造が大きく異なっているとは考えにくい.本研究は,分子動力学(MD)シミュレーションによって,水/空気,水/ CCl4,水/DCE界面の構造とSFGスペクトルを直接計算することによって,実験で報告されたスペクトルがどのような界面構造を示唆しているのかを明らかにした.結果として,3者の界面で構造は大きく異ならないものの,非常に局所的な水素結合構造が振動スペクトルに敏感にあらわれることが明らかとなった.
24年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2013 2012
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)
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