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2011 年度 実績報告書

ラマン/ハイパーラマンハイブリッド顕微分光法の開発と溶媒環境の振動分光的計測

研究課題

研究課題/領域番号 22750008
研究機関東京大学

研究代表者

島田 林太郎  東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教 (70548940)

キーワード分子近接場 / 非線形ラマン分光 / 分子間相互作用 / 多極子相互作用
研究概要

通常の溶媒と溶媒中の水素を全て重水素に置換した重溶媒を用い、溶液中β-カロテンのハイパーラマンスペクトルを観測した。得られた2種のスペクトルの差分を検出することにより、β-カロテンにより増強された近傍溶媒分子の分子振動を高感度に検出した。検出された溶媒の信号を溶媒の赤外吸収、ラマン、およびハイパーラマンスペクトルと比較することにより、増強される溶媒の分子振動について以下に挙げる特徴を見いだした。1)赤外活性振動は増強される。2)非全対称ラマン活性振動も増強される。3)全対称ラマン活性振動は増強されない(にくい)。4)ハイパーラマンのみ活性な振動も増強されない(にくい)。上記の結果を説明するために、これまで提案していた共鳴ハイパーラマン散乱の理論をさらに拡張し、分子間の相互作用を多極子相互作用としてあらわに取り入れた理論を構築した。多極子相互作用の大きさは分子間の距離や配向に依存するため、増強された溶媒の信号強度を定量的に評価することが可能である。実際に本理論により得られた表式を用いて、観測されたスペクトルパターンおよび強度を定量的に再現することに成功した。本理論により、上記1の赤外活性振動は溶質分子と溶媒分子の双極子-双極子相互作用により、また2の非全対称ラマン活性振動は双極子-四重極子相互作用により強度増大を得るものと判明した。本研究は溶質-溶媒間に働く弱い多極子相互作用を実験的に検出、評価する新たな手法を提案するものである。また「分子近接場効果」を用いることて'標的分子のナノメートル近傍に存在する分子の振動情報(=構造情報)と空間的情報を同時に取得する新たな局所分析法の可能性が示された。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2011

すべて 学会発表 (4件)

  • [学会発表] ハイパーラマン分子近接場効果によるナノメートル局所分析の可能性2011

    • 著者名/発表者名
      島田林太郎
    • 学会等名
      日本分光学会ナノ分光部会シンポジウム
    • 発表場所
      理化学研究所(和光)(招待講演)
    • 年月日
      2011-12-16
  • [学会発表] Selection Rule of the Hyper-Raman Molecular Near-field Effect and Solute-Solvent Interactions2011

    • 著者名/発表者名
      Rintaro Shimada
    • 学会等名
      Ther 3rd Asian Spectroscopy Conference
    • 発表場所
      厦門大学(厦門)(中国)
    • 年月日
      2011-11-30
  • [学会発表] A Novel Approach for Solute-solvent Interactions by Hyper-Raman Molecular Near-field Effect2011

    • 著者名/発表者名
      Rintaro Shimada
    • 学会等名
      IMS Symposium on Recent Developments of Spectroscopy and Spatial and Temporal Hierarchical Structures in Molecular Science
    • 発表場所
      分子科学研究所(岡崎)(招待講演)
    • 年月日
      2011-10-18
  • [学会発表] ハイパーラマン分子近接場効果の選択律と溶質-溶媒間多極子相互作用2011

    • 著者名/発表者名
      島田林太郎
    • 学会等名
      分子科学討論会
    • 発表場所
      札幌コンベンションセンター(札幌)
    • 年月日
      2011-09-23

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公開日: 2013-06-26  

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