研究課題/領域番号 |
22750009
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
山田 和彦 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (80373380)
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キーワード | NMR / 硫黄 / 生体分子 |
研究概要 |
本研究の目的は、硫黄33安定同位体を測定対象とした固体核磁気共鳴(NMR)法の開発である。硫黄は、例えば、タンパク質を構成するアミノ酸に含まれおり、ジスルフィド結合を形成し、タンパク質の会合をはじめ、生体機能に深く関与していることが知られている。生化学および化学の研究分野において、NMR法は詳細な分子および電子情報を得ることができることから、3次元立体構造解析や分子機能解析において、必要不可欠な測定法と言える。しかしながら、硫黄を測定対象としたNMR法の実験報告例は皆無である。これは硫黄33安定同位体の天然存在比が低いこと、および、核四極子モーメントが大きいことに起因している。 本年度の実績として、半整数四極子核のシュミレーションプログラムを開発し、NMRパラメータの算出のみならず、分子の動的挙動(再配向運動)の解析が可能になった。この成果を礎に、今後の硫黄原子を介した生体分子の分子認識や機能の解明に挑戦する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では超高磁場NMR装置の活用が必要不可欠である。独立行政法人物質・材料研究機構強磁場NMRステーションの930MHzNMR装置を使用する予定であったが、先の東日本大震災の影響で、現時点(2013年4月の時点)において、使用することができない。500MHz装置での代替を検討しているが、感度不足のため、930MHz装置の復旧が望ましい。
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今後の研究の推進方策 |
今年度後半に強磁場NMR装置が稼働する予定である。当初の予定では2012年度中に稼働予定であったが、大幅に遅れた理由は、近年の液体ヘリウム不足が原因である。しかしながら、2013年7月以降には液体ヘリウム供給が正常化するとの観測があり、今年度中に930MHz装置におけるNMR測定が実現すると期待している。
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