細胞質内の混み合った溶液環境(分子クラウディング)を、深海魚細胞中に存在する浸透圧調節物質 TMAO を用いてモデリングした。クラウディング溶液中の蛋白質熱力学量(部分モル体積や移相自由エネルギー)を、分子動力学シミュレーションから得られる溶媒原子配置情報とカークウッド‐バフ (KB) 積分法を組み合わせて計算する手法を開発した。 KB 積分を時空間分解することで、 熱力学量の総量だけではなく、 その時間依存性 (ダイナミクス)や 3 次元的な分布を明らかにした。これにより、分子クラウディング効果の微視的描像が得られた。
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