研究課題
次世代を切り拓く革新的な電子・光・磁気機能を有する物質の創出を図るため、本研究では非常に安定な非局在型πスピンを有する常磁性内包フラーレンに着目し、その選択的分子変換による構造および電子特性の制御を行うことを目標とし、検討を行ってきた。フラーレン類は、多様な電子・光学機能をもたらすπ電子を分子骨格にもつナノサイズの巨大π電子系である。さらに、このπ空間に金属原子を閉じ込めた金属内包フラーレンは、金属原子からフラーレンケージへ電子移動が起こるため通常の空フラーレンとは大きく異なる優れた酸化還元特性を有し、加えて磁性化、反磁性化が容易であることから非常に興味深い化合物群である。磁気的・電子的特性が優れた金属内包フラーレンを有機ドナー分子または金属錯体と集積化することで革新的な機能の発現を確信する。平成22年度は常磁性内包フラーレンを大量合成し、合成した内包フラーレンを用いて化学反応性の解明を行った。次に、合成した常磁性内包フラーレンに対し、選択的1,3-双極子環化付加反応を用いた機能性置換基の導入を検討した。我々は最近、アミノ酸とアルデヒドの熱反応によって生じるアゾメチンイリドが金属内包フラーレンへ高効率かつ高位置選択的に付加することを見いだしていたが、本年度はさらなる条件の最適化を図ると共に、常磁性内包フラーレンに対するこの反応用いた機能性置換基の導入を行った。具体的には金属錯体の配位子として広く用いられているピリジンを置換基として導入し常磁性内包フラーレン配位子を大量に合成した。
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