研究課題
芳香族化合物のモデル研究において達成困難であった[4n]アヌレノ[4n']アヌレン骨格を構築するべく、環拡張ポルフィリンに分子内共役架橋構造を導入することを検討した。ピロール環のβ位にアルキル基が存在する場合マクロ環生成物が不安定であるため、マクロ環形生後の導入が不可能であると分かり、共役ブリッジ構造を予め有した前駆体の合成を検討した。また、マクロ環を安定化させるために、β位がハロゲン原子で置換されたピロールからなる前駆体の合成も検討した。その過程において、以下のような実験結果を得た。副生成物の一つにトリピランが酸化され共役構造を有した金属錯体が含まれるのを発見した。ピリジン環をマクロ環の一部に有したピリコロールが合成され、X線結晶構造解析に成功した。メゾアリール置換環拡張ポルフィリンにチオール類を作用させることによってアルキルチオ化できることを見出し、チオール基を有した糖を用いることによって水溶性を付与することもできた。外周部にターピリジン配位子を有したポルフィリン誘導体を合成し、イオンサイズに応じた環内外の段階的金属錯体化を実現した。これらの事柄を効果的に組み合わせることによって、これまでになかったポルフィリン誘導体および類縁体の合成法が確立され、その応用例の拡大、特に光増感剤および分子イメージング剤開発の一助になると期待される。
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Chemical Communications
巻: 47 ページ: 3960-3962
巻: 46 ページ: 5689-5691
Biochemistry
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