研究課題
オゾン酸化法を用いた二段階プロセスを経て、異常高原子価Fe4+イオンを含む立方晶ペロブスカイト型Sr1-xBaxFeO3(0≦x≦1)固溶体を合成した。そして、中性子線回折測定、メスバウア効果等よりその性質を調べた。SrFeO3中ではFe4+イオンにとって最適な結合距離となっているが、xの増大(Baの増大)とともに格子が膨張し、酸素を介して隣接する鉄イオン間の距離が異常に長くなる。このときメスバウア分光測定からは、アイソマーシフトの値が小さくなるとともに、4Kでの内部磁場にも単調な低下が見られた。中性子線回折測定により、0≦x≦0.8の組成で、111方向に波数ベクトルを持つスクリュー型磁気構造をとることがわかった。このときFeを含む(111)面と一層分進んだ次の(111)面とのスピンのなす角度は単調に減少した。すなわち、Fe-O-Fe距離を伸ばすことにより、系を強磁性的へシフトさせていることを示している。また、BaFeO3に対してFe4+の一部をイオン半径の大きなSn4+で2%置換することにより、さらに格子を膨張させ、完全な強磁性体とすることに成功した。磁気転移温度は~120K程度と、Sn置換前とあまり変化が見られなかったが、磁性イオンが鉄のみからなる酸化物の中で完全な強磁性体が初めて得られたことになる。また、メスバウア効果により、僅少な非磁性のSnの導入は磁気的性質をほとんど乱していないことがわかった。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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巻: 30 ページ: 100-103
Angew. Chem. Int. Ed. Engl.
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10.1002/anie.201105276