研究課題
共役した二核フタロシアニン金属錯体の合成を試み、亜鉛イオンや銅イオンやパラジウムイオンを導入した錯体の合成に成功した。それらの錯体には、800~900nmに非常に大きなQ-bandのような吸収帯を持っており、目的とする近赤外領域に吸収帯を有する錯体の合成を確認した。さらに、これらの二核錯体は780nmよりも長波長側の近赤外領域の光を用いても光触媒としての能力を有することが確認できた。このように、近赤外領域のみでの光触媒能を示す金属錯体は、非常に珍しいため、今後の実用化に期待できることが確認された。現在、これらの錯体を用いた光線力学的治療の実用化た向けて、錯体を水溶性にしなければならないことから、8個~16個のカルボキシル基を導入したフタロシアニンの合成を試みたところ、単量体のフタロシアニン金属錯体については合成することができて、メタノールなどの極性溶媒に可溶なことが、NMRやUV-visスペクトル測定から明らかになった。さらに、これらの錯体は、弱アルカリ条件で水に可溶であり、フタロシアニン環同士の会合が無いことが、UV-visスペクトルやNMRスペクトルの結果から確認された。現在では、水溶性の二核フタロシアニン金属錯体の合成を試みている。さらに、本年度から、フタロシアニンとサレンの融合型錯体の合成を試み、ニッケルイオンと銅イオンを導入した錯体の合成に成功している。これらの錯体も、780nm付近の近赤外領域に大きな吸収帯を有することから、同様にPDTの光増感剤としての可能性を試験している。
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