研究概要 |
配位高分子に酸性官能基を導入するため、官能基をまず(i)有機官能基で保護し、(ii)錯形成により配位高分子を合成した後、(iii)脱保護するという、3ステップのプロセスを開発した。 本年度はこの手法を用いてホスホン酸基を有する配位高分子の合成を検討した。ホスホン酸基がアルキルで保護された3,5-ジカルボキシホスホン酸ジアルキル配位子を、2ステップで合成し、得られた配位子と硝酸亜鉛6水和物を60℃で反応させることにより、保護されたホスホン酸基を導入した配位高分子の合成に成功した。また、より苛烈な反応条件で反応させることで、ホスホン酸基が金属に配位し、カルボン酸基が配位していない配位高分子を合成することに成功した。 さらに、ホスホン酸基を脱保護した2,5-ジカルボキシホスホン酸と硝酸アルミニウム9水和物とを反応させることで、MIL-53型配位高分子の合成に成功した。 これらの配位高分子は、細孔中にカルボン酸基やホスホン酸基を有しており、イオン交換能を有していると考えられる。特に、配位高分子の細孔にホスホン酸基を導入した例はこれまでになく、均一なナノ細孔を有するイオン交換材料が、世界ではじめて得られたと考えている。 また、シュウ酸を用いた、金属配位高分子の合成に取り組んだ。ルビジウムを導入した同型の配位高分子の合成に成功し、結晶構造の解析に成功した。また、元素分析及び粉末XRDパターンからセシウムの取り込みにも成功したことが示唆された。これまでの結果と合わせると、この2次元シュウ酸金属配位高分子は、アンモニウム、カリウム、ルビジウム及びセシウムを取り込むことが分かり、これらの選択性が見出されることが期待される。
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