病原性の細菌、ウイルス、およびそれらが生産する毒素タンパク質のスクリーニング試験は、飲料水や食品の安全管理に資する重要な科学技術である。本研究では、簡便性・迅速性に優れたイオンチャンネルバイオセンサをマイクロ流体デバイスへ展開することで、ELISAを利用した既存デバイスの問題点を克服する新技術の開発に挑戦する。 毒素タンパク質としてコレラトキシン、ウイルスのシュミラントとしてのMS2を用い、イオンチャンネル能を示す抗体組織化膜を電極表面上に構築した。各抗体は自己集積単分子膜として修飾したビオチン分子にクロスリンカーとしてストレプトアビジンを介し、分析対象物質のサイズに応じた特定の分子密度でIgG抗体を組織化させた。 一方、ピンチドフローフラクショネーションを利用したサイズ分離マイクロ流路の作製に取り組んだ。細菌(1μm~5μm)とタンパク質(<100nm)の分離を想定し、マイクロ流路内に1μm以下と1μm以上の二相の層流形成させるマイクロ流路をデザインし、レジスト製鋳型にポリジメチルシロキサン(PDMS)を流し込み、熱硬化させることで作成した。サイズ分離対象モデルとして、直径1μmと3μmの蛍光微粒子を調整し、蛍光顕微鏡を使って分離の最適条件を検討している。
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