研究概要 |
本研究は,ポンプやバルブなどの周辺機器も含めて真にポータブルな表面プラズモン共鳴(SPR)センサを開発することを目的として,コンパクトディスク(CD)上に作製した多数のマイクロチャネルに,遠心力を利用して試薬と試料を導入し,試料中の各成分をマイクロチャネル内壁に固定した種々のレセプタータンパク質との相互作用により分離した後,ナノアレー構造体を利用するSPRセンサにより検出する,新規SPRセンサを開発するものである。 本年度は,CD型マイクロチップとその回転装置を開発し,チップ上の液だめからの溶液の流れとチップの回転速度の関係について検討した。また,熱流体解析ソフトウェアFLUENT6.2を用いて,シミュレーションによる理論的検討もあわせて行った。これにより,液だめに入れる溶液量とチップの回転速度を変化させることにより,CD上の異なる位置に配置した別々の液だめから溶液を順番に送液できることを理論と実験の両面から明らかにすることができた。 一方,ナノアレー構造体ついては,ナノビーズを基板上に規則的に配列させ,これを鋳型にしてナノアレー構造体を作製する方法について検討した。規則配列したナノビーズの単層膜形成法として,ドロップコーティング法,スピンコーティング法およびディップコーティング法を検討した結果,ディップコーティング法がビーズ単層膜形成法として最も適していることが分かった。今後,基板の引き上げ速度,ビーズ濃度,湿度等を詳細に検討し,最適化することにより,より広い面積の規則配列ナノビーズ単層膜を作製できると考えられる。
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