本年度は、固相化Padlock RCAの定量分析を中心に行った。固相として、直径20 µmのポリスチレンビーズ、34 µmのアガロースビーズを用いて、ビーズに固相化したDNAを標的とするPadlock probeを用いてRCAを行った。1ビーズあたりのRCA産物数を比較したところ、アガロースビーズではポリスチレンビーズの10倍ものRCA産物が検出できたことから、今後はアガロースビーズを使用することとした。 定量分析のモデル実験としてPadlock probeを0~1.5 nMの濃度にして、前述と同じビーズに固相化したDNAを標的配列にするRCAを行った。その結果、濃度に依存したRCA産物数が観察され、定量分析に用いることが可能なことが示唆された。次にサルモネラ菌の配列を持つオリゴヌクレオチドをサンプルにみたて、その濃度を1 nMに固定し、Padlock probeの濃度を1 nM~10 µMにして最適な濃度を検討した。その結果、サンプルの100倍である100 nMのときに、最も良い値が得られた。次にPadlock probeの濃度を100 nMに固定して、サンプルDNAの濃度を0~1.5 nMにしてRCAを行ったところ、濃度に依存したRCA産物数が観察され、定量分析に用いることが可能なことが示された。このときの検量線の傾きは、ビーズに固相化したDNAを標的配列にするRCAのときと同じであった。検出限界は0.05 nMであり、菌から抽出したDNAを用いてRCAをするのには、さらに一桁低い値を検出する必要があった。そこで、ビーズ10個あたりのRCA産物数で検量線を作ったところ、10 pMから直線性を確認できた。
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