研究課題/領域番号 |
22750077
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
藤 暢輔 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力基礎工学研究部門, 研究副主幹 (60354734)
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キーワード | 分析化学 / 放射線 / 中性子 / ガンマ線多重度 / 共鳴 |
研究概要 |
農産物・考古学・、宇宙・工業等において元素分析の迅速性・検出限界の改善が求められている。即発ガンマ線分析は非破壊、多元素同時、高精度などの特徴を持つ。その検出限界は多くの場合において試料中に含まれる水素からのガンマ線による妨害によって決められている。水素は同時に放出するガンマ線の数が1本(多重度が1)であるのに対し、殆どの元素の多重度は2以上である事に着目し、多重度の違いによって検出限界の改善を行なう。 本年度は前年度に試作した多重度を求めるための検出器をもとに、多重度決定用検出器を整備した。検出器はシンチレーションファイバー、光電子増倍管、デバイダにより較正され、全部で8個に分割された構造となっている。また、シンチレーションファイバーが持つ可撓性によって、Ge検出器(及びそのコンプトンサプレッサーとしてのBGO検出器)、ビームダクト、中性子及びガンマ線遮蔽材などの密に配置された周辺機器と干渉する事無く検出効率を最大限にする事が出来た。検出器の架台はフレキシブルアームを採用することによって、J-PARC MLF ANNRI装置とJRR-3 MPGA装置の2つの異なる装置で用いる際に最適の位置に容易に設置出来るほか、将来的な拡張にも柔軟に対応出来る構造となっている。実験データ解析のためのソフト及びハード等も整備し、来年度の実試料を用いた実験に用いる。また、本研究の一環として行なった生体試料中に含まれるタンパク質(窒素)定量の実現可能性の研究に関して、MPGAによって水素からの妨害を大幅に低減する事ができ、それによって迅速に十分な精度で定量可能であり、カドミウム等との同時定量が行なえる等の有用性を示した論文をまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ガンマ線の多重度決定用検出器としてシンチレーションファイバーを採用した事で、ライトガイドを兼ねた構造となっている事と形状の自由度が高いため、設計と製作が容易になり、非常に狭いスペースにも効率的に配置する事が出来るようになったため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は製作した検出器を用いた実験をJ-PARC MLF ANNRI装置もしくはJRR-3 MPGA装置において行なう。
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