研究概要 |
酵母細胞をモデル試料に用い、(1)ICP-TOFMS用の細胞直接導入インターフェースを開発し、(2)高速スキャニング計測による細胞中微量元素の高感度多元素同時計測技術を確立した。 具体的には、 (1)申請者らが製品化したICP-MS用高効率試料導入インターフェースAIF-01を基盤として細胞直接導入可能な新規インターフェースを開発した。主な改良点は、三重管ネブライザーの中心管材質の変更と、シリンダー型気化室のシーズガス導入方法の変更、シリンダーガス壁加熱である。この改良により、プラズマへの細胞導入効率を改善することができた。 (2)酵母細胞分散液を用い、ICP飛行時間型質量分析装置(ICP-TOFMS)の測定条件を検討した結果、時間分解能10ms以下において酵母細胞中元素を高感度計測できることを確認した。また、セルカウンターによる細胞個数/mL概算値を基に希釈調製した酵母分散液に関して、レーザー回折式粒度分布計測を行いて分散液中の酵母の粒度分布及びネブライザー噴霧後の液滴粒度分布を比較し、噴霧液滴あたり含まれる酵母数がほぼ1つ以下であることを確認したのち、ICP-TOPMSにより細胞直接導入/高速スキャニング計測した結果、単一酵母細胞中Mg,P,Ca,Fe,Fe,Cu,Znの高感度計測が可能となった。また、得られた時系列計測プロファイルの相関係数を求めたところ、Mg,P.Znのプロファイルには有意な相関関係(0.69)があることが確認された。
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