研究課題
本研究は、形状やサイズの異なる精密設計された三次元中空分子群を高効率で合成し、多様な側鎖を導入する。これを基盤として、水素結合や疎水性相互作用を活用して自己組織化させることにより、フィプリルやベシクルなどの分子集合体の構築と構造制御を目的とする。ロッド、パネル型分子、環状化合物からの分子集合体にはない特異な構造や機能・物性を開拓する。また、集合体の三次元分子の内部空間へのゲスト分子の認識・カプセル化を通じて、分子集合体の構造変化やダイナミクス、キラル誘起・増幅、包接ゲスト間の光・電子エネルギー移動、液晶・ゲルの物性の改変に取り組み、機能性マテリアルの開発へと展開する。本年度は、三置換アダマンタン誘導体の二量化により得られたかご型分子を活用することにより、ベシクル構造の構築およびゲスト分子の包接について検討を行った。かご型分子の表面にカルボキシル基を導入することにより、弱塩基性水溶液中で、直径100nmサイズの単層ベシクルに自己集合することが動的光散乱、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡測定により明らかになった。また、紫外可視光吸収スペクトル測定の結果、ピークが長波長側にシフトしていることから、かご型分子が二次元上にπ-π、疎水性相互作用により配列していることが示唆された。さらに、このベシクルにアントラセンのような疎水性分子を共存させると、アントラセン分子がベシクル中の三次元分子の内部空間に包接されていることが、紫外可視光吸収スペクトル測定から示唆された。一方、ベリレンのようなより大きな分子は包接されないことが分かった。すなわち、水溶液中で球状集合体の三次元分子の内部空間へのゲスト包接において、ゲスト分子のサイズ依存性が示された。
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Cryst.Growth Des.
巻: 12(In press)
10.1021/cg300098q
CrystEngComm
ページ: 5299-5302
10.1039/C1CE05253E